生産効率を考慮する際、1つの金型にいくつのキャビティを設置するかは非常に重要となります。そこで、今回は、1個取り金型、多数個取り金型の違いを詳しく解説します。是非、当記事をご覧いただき、違いをしっかりと押さえ、実際の金型選定や設計にご活用ください。
1つの金型に対し、1つのキャビティを配置することを”1個取り”と呼び、多数個のキャビティを配置することを”多数個取り”と呼びます。この1個取り金型と多数個取りの金型の違いとしては、①生産効率、②金型費用、③金型納期が挙げられます。
当然のことながら、多数個取り金型を使用することで多数の製品を1度に製作することができるようになるため、大幅に生産効率が向上し、加工費のコストダウンにつながります。
さらに、材料歩留まりも1個取りの場合より良くなるため、材料費のコストダウンも期待することができます。
多数個取り金型は、1個取り金型と比較すると、金型構造が複雑になり、より多くの部品が必要となります。そのため、多数個取り金型の費用は自ずと高くなります。
当社で製作した金型の1例ですが、1個取りの金型費用は20万円程度であり、多数個取り(20個取り)の金型費用は100万円程度となります。
1個取り金型と比較すると、 多数個取りの金型は金型構造が複雑となるため、製作期間も長くなります。こちらも、当社で製作した金型の一例ですが、1個取りの金型の納期は3週間程度であり、多数個取り(20個取り)の金型の納期は4週間程度となります。(※内、1.5週間は材料納期です。)
まとめると、1個取りの金型は、金型費用、金型納期の面では優れているといえます。しかしながら、イニシャルコストを許容できれば、多数個取り金型を用いることで、大幅な生産効率の向上を見込むことができます。どちらの金型が最適であるかは、製造条件等により異なります。
また、当社の多数個取り金型の特徴として、金型は1ショットで成形加工できるキャビティの数が増えれば部品1個あたりのコストを抑えることができますが、品質にばらつきが生じます。
A:±0.002以内までなら実績があり加工が可能です。
A:厚み20まで加工可能です。
A:厚み16まで加工可能です。
こちらは、ワークサイズは120mm×40mm、ピッチ間は0.8mm、精度は±0.001mmのインダクター金型となります。微細穴加工技術を活かし、φ0.2の下穴加工を施した後にワイヤーカットを施しています。当社の加工技術・ノウハウが詰まった製品事例となっていますので、詳細を下記事例よりご確認ください。
当製作事例を動画でもご紹介しています。是非下記よりご視聴ください。
上述の多数個取りの金型を製作する場合、ピッチ精度が課題となります。高度なピッチ精度を実現できないと、金型として成り立たないといった事態に陥りかねません。超硬加工・超硬金型センターを運営する桂精密では、保有する多様な設備を用いることで、ピッチ精度±3μmで金型を製作することが可能です。
さらに、当社が長年培ってきたノウハウ・経験を活かすことで、品質向上提案や材質変更によるコストダウン提案など、各種提案を行うことも可能です。特に設計段階からの提案も得意としており、お客様でご使用される金型の課題解決に貢献します。