超硬金型は、耐摩耗性、耐久性、離型性に優れた金型になります。今回はそんな超硬金型を成功させるポイントを紹介いたします。
目次:
1.超硬金型とは
2.超硬金型の特徴
3.超硬金型の加工方法
4.粉末成形金型とは
5.当社の超硬金型の事例を紹介
6.超硬金型の設備をご紹介
7.超硬金型なら、当社にお任せください!
超硬金型とは超硬合金で製作された金型になります。
超硬合金はタングステンカーバイドが主成分であり、ダイヤモンドの次に硬くダイス鋼で対応できないものを成形する場合に使用されます。
また、耐摩耗性、耐久性、離型性が非常に高いことが特徴です。
金型は部品どうしの接触や摩擦など摩耗のスピードが早く、摩耗の状態が許容限度を超えてしまうと金型の破損や不具合、成形品の不良などにつながってしまうため、高い耐摩耗性が求められます。
ここでは、超硬金型の特徴について紹介いたします。
超硬は、非常に硬い材料になりますのでダイス鋼で対応できないものを成形する際に使用されています。
超硬金型は、耐摩耗性や耐離型性や耐久性に優れています。
耐摩耗性に関して、HRa85~95の硬度をほこるため非常に摩擦に強くそれによる耐久性も持ち合わせております。そのため、硬さをいかして極小のものや肉厚が薄いものなどSKで対応できないものが、加工することが可能です。
また、耐離型性に関しても面粗さRaで0.01μmまで対応可能で2重プレス対策になるといったメリットがあります。
ただデメリットもあり、超硬金型は硬度が高いため折れるといった破損の発生、超硬よりも硬いものを使用するため工具が少ない、ダイヤコーティング工具を使用するため工具が高価といった点もあります。また、超硬は供給量が少ないため材料費が高く納入するまでに時間がかかってしまいます。そのため当社では、在庫が豊富であるためHRa85~95を取り揃えており即時対応ができるようにしております。
上記のような特徴が超硬金型には、あります。
ちなみに当社は、お客様の用途に応じて、一番コストパフォーマンスが良いものを提案しております。
超硬金型の材料である超硬合金は非常に硬い物質なため加工方法が限られています。
こちらでは、そのような超硬金型の加工方法を紹介いたします。
切削加工とは、除去加工の一種で 一般的に切削工具を使用し加工物を削り、切断したりする加工技術のことを指します。 切削加工の刃先に使用する素材は、加工物よりも硬くないと加工ができません。
研削加工とは、加工物を高速回転している 研磨砥石 に接触させ削って加工する方法になります。
放電加工とは、非接触で金属の溶解・冷却・飛散を繰り返すことで加工します。そのため、あまり力が無くても超硬合金を加工することができます。
LAP加工とは、超音波ツールを用いて、ラップ素材を振動させて研削する加工方法になります。超硬合金の場合、ラップ素材は、粉末のダイヤモンドになります。
粉末成形金型とはその名の通り、粉と粉(セラミック:アルミナorフェライト+バインダー)をくっつけて成形を行う金型のことです。
粉末成形とは粉末冶金とも呼ばれ、セラミックスや金属の粉末を金型に入れて圧縮して固め、更に高温で焼き固めることで高硬度高精度の部品をつくる技術のことです。
粉末成形は大まかに分けると、以下の工程によって構成されています。
1.原料となる粉末の混合
2.粉末を金型に入れて圧縮し成形
3.成型品を焼き固める
粉末成形金型はこのうちの2.粉末(材料)を金型に入れて圧縮し成形に使用されます。
この金型成形はさらに粉末(材料)充填、加圧、成形体取り出しの3つの工程に分けることができます。
粉末成形に限らず、金型成形はパンチやダイと呼ばれる部品で原料を加圧することで成形を行います。
こちらでは、当社の超硬金型の事例を紹介いたします。
垂直精度と微細形状が5/1000 5ミクロン以下のクリアランス精度での製作を行っております。
クリアランス精度が落ちると製品にバリが発生し、バリを除去する後工程が大変時間がかかります。
100個取り超多数個を製作する上で、累積精度が問題になりますが、こちらの金型は超多数個取りでも高い精度を保っております。
異形状多数個取りにより精度を保つことが難しく、製品の個体差、誤差の累積、垂直精度など・・・、
全てにおいて高難度な加工を要求された金型です。
こちらは複雑形状多数個取り下1パンチと複雑形状多数個取り下2パンチを組み合わせた画像になります。
こちらは、ガラス・セラミック製品等に使用される粉末成形金型一式です。桂精密では、異形状金型だけでなく、単純形状の量産(多数個取り)金型製作も得意としております。また、通常の粉末成形金型と比較すると、桂精密の粉末成形金型は、寿命が非常に長いといえます。その理由は、ピッチ精度等に細心の注意を払い、パンチの折れや欠けを防ぎ、パンチへの負荷を最小限に抑えているからです。
ダイスによる段付き成形を行ったセラミック粉末成形金型の断面です。
3トンプレスの試作型に使用されます。
通常は段を付ける場合は、パンチを分割して行いますが、ダイス内で段付け成形を行っております。
結果、金型構造がシンプルになり、量産性の向上・成形品の品質安定を実現しております。
下パンチ超硬一体加工にて4本ピンを研磨とワイヤー加工で削り出し、完成しております。
4つのピンを一体加工することによって位置関係の精度が5ミクロン以内に収まり、コアピンとの位置関係も良好になり、プレス時のトラブルを低減しました。
また、超硬へ直接タップ加工を行う事によりクランプ面積を最小限にし、多数個取りへの展開も可能です。
こちらでは、当社の超硬金型に使用される設備をご紹介いたします。
超硬精度高速微細加工機は、銅タングステンに形状を加工し、絵付き形状の電極として使用することが多いです。他にも、銅材に超硬コーティング工具を使用し直接絵付き形状を彫り込む加工も行っています。特徴として、リニア駆動、室温追従型機体温調システムにより、高速加工、長時間加工においても、変位量が少なく、高精度(±0.001以内)を維持することができる機械の為、複雑な形状や多数の繰り返し加工などが可能なことになります。超硬精度高速微細加工機で使用できる素材は、鋼材(焼入鋼材を含む)、銅タングステン、セラミックなどになります。当社では、銅タングステン、焼入鋼材の加工に使用しております。超硬直彫り加工も進行中です。
こちらでは、超硬精度高速微細加工機【Andoroid Ⅱ】の製品事例を紹介いたします。
パンチ多段金型
通常の金型は、上パンチ、ウス、下パンチにより構成されています。これに対し、パンチ多段式金型は、複数の上パンチ、下パンチがある金型を指します。複数のパンチにより構成された金型(パンチ多段式金型)を用いることで、より高度な製品を製作することができるようになります。
>>パンチ多段式金型のメリット!パンチ多段式金型の製作ならお任せ!
ウス段金型
ウス(ダイス)段付き金型は、上パンチ、ウス(ダイス)、下パンチにより構成されています。パンチ多段式金型の違いとしてウス(ダイス)側に段がつく点が違いになります。用途として、パンチが細長いものに採用されることが多いです。
>>パンチ多段式金型でお困りの方必見!ウス(ダイス)段付き金型のメリットをご紹介!
直彫り焼パンチ
直彫り加工で1時間程度で加工いたしました。
本来は超硬材料で行いますが、試作であればSKDで直彫り加工が可能です。
これにより、通常は電極製作と放電加工で5時間はかかるところ直彫りにすることで加工時間を短縮し、短納期化とコストダウンを実現しております。
また手磨きを施しており、面粗さRa0.02の精度も確保しております。
超硬直彫りパンチ
下1パンチです。
材質は超硬(HRA89)で、MC直彫り加工を施しております。
微細形状加工となると形彫り放電加工となることが多いですが、MC直彫り加工にすることで、形彫り放電加工工程を省略することが可能になります。
加工時間が多くかかる形彫り放電加工工程を削減したことで、形状加工時間は本来60時間のところ、31時間にて製作することができました。 また加工時間の短縮だけでなく、MC直彫り加工は手仕上げ(LAP)による加工精度のバラつきをも抑えることができ、最終精度の安定化にも効果的でした。
今後は加工方法を見直し、コストダウンを課題とします。
ワイヤーカット放電加工機は、リニア駆動と門型構造により、温度による熱変位量を最小限で加工できるため、長時間の繰り返し加工を高精度で加工することが可能になります。また、独自の電気条件により、面粗さRz0.3以下の加工面で加工も可能になります。当社では極小、高精度な製品のダイスに使用することが多いです。
100個取り0804インダクター金型
垂直精度と微細形状が5/1000 5ミクロン以下のクリアランス精度での製作を行っております。
クリアランス精度が落ちると製品にバリが発生し、バりを除去する後工程が大変時間がかかります。
100個取り超多数個を製作する上で、累積精度が問題になりますが、こちらの金型は超多数個取りでも高い精度を保っております。
3個取りインダクター金型
垂直精度と微細形状が5/1000 5ミクロン以下のクリアランス精度での製作を行っております。
クリアランス精度が落ちると製品のバリ取りができず、製品の品質が悪くなります。
又、ダイスを割型にすることでインコーナーR0mmを実現しております。
インコーナーR0なので、製品体積を維持でき、モバイル端末のような小型の精密機器に使われる部品の製造に非常に有効です。
異形状ダイス
異形状の多数個取り金型です。
異形状になると加工やミガキ、合わせが難しくなりますが、当社では経験豊富な社員と極小・高精度・難形状の金型に特化した生産設備で対応を可能としております。
プロファイル研削盤は、独自のスピンドル構造により加工能率の向上で良質な面粗さで加工が可能になります。また、NCシステムの操作性が簡略化された為、NC加工の多様化により形状精度の高い製品が製作可能です。当社のプロファイル研削盤での加工は、加工機の精度は勿論ですが、加工する作業者のレベルも非常に高く、 ±0.002以内での加工精度を実現できます。
超硬パンチ(H型)
こちらは、電子部品で使用される粉末成形金型の超硬パンチ(H型)です。当製品は、精度±2μm、面粗さRz0.01mm、超硬厚み32mmとなります。また、H型の溝幅が0.3mm以下といったように精度が高いため、通常のプロファイル研削加工機では、この溝幅は実現できませんでした。当社では、特注ホイールを使用することにより、この溝幅を実現しています。このように、超硬加工・超硬金型センターを運営する桂精密では、あらゆるノウハウを用いることで、高精度な超硬部品製作に取り組んでいます。あらゆる超硬部品のことなら、桂精密にご相談ください。
段付きピン
こちらのφ1.3-φ1.7の段付きピンは円筒研削加工により製作しました。(円筒度:2μ)
製品にブレが発生する恐れがあるため、アスペクト比を意識して加工を行うことで、ブレの発生を抑えています。
医療用部材打ち抜きパンチ
こちらは先端穴径φ0.5mmの医療部品向け打ち抜きパンチです。
先端からパンチ根本までが空洞になっており、打ち抜いた部材が排出されます。
精度に関わるため超硬一体材料から加工を行っています。
従来は工具鋼製の材料で製作されていたとのことですが、超硬合金に変更することで実際の寿命が3倍以上に伸びたと伺っております。
特に打ち抜いた穴の精度がほとんどバラつかなくなったとのことで、歩留まり向上の面でも超硬合金化が有効となった事例です。
画像自動測定器は、従来の手による測定から自動測定にすることにより、人による測定ムラを無くし、 安定した検査が可能になりました。また、高NA光学ズームヘッド、高性能なレーザーAF、多彩な照明方法により、あらゆる製品にも自動測定が実現できます。当社では、極小、複雑形状の加工が多い為、従来の測定顕微鏡では測定不可能な製品も測定し、数値とし記入する事ができます。
上記のように、超硬金型は、様々な加工方法がありコスト面や精度によって工法変更を行います。超硬加工・超硬金型センターを運営する桂精密では、保有する多様な設備を用いることで、ピッチ精度±3μmで金型を製作することが可能です。
さらに、当社が長年培ってきたノウハウ・経験を活かすことで、品質向上提案や材質変更によるコストダウン提案など、各種提案を行うことも可能です。特に設計段階からの提案も得意としており、お客様でご使用される金型の課題解決に貢献します。