超硬合金の放電加工について詳しく紹介いたします。
目次:
1.超硬合金とは
2.放電加工とは
3.超硬合金における放電加工を紹介
4.当社の超硬合金における放電加工の特徴
5.当社の放電加工設備の紹介
6.ワイヤー放電加工機(水、油、型彫)の特徴と当社設備をご紹介
7.超硬合金の放電加工品のことなら、超硬部品・超硬金型センターにお任せください!
超硬金型は、主に超硬合金を使用して作られた金型のことを指します。この合金は非常に硬度が高く、耐摩耗性、耐食性、耐熱性に優れています。そのため、超硬金型は、金属や樹脂などの高硬度材料を加工する際に広く利用されています。例えば、金属成形やプラスチック成形、押出成形、射出成形、精密切削加工、精密型抜き加工などの分野で使用されます。
超硬金型は、特に高い硬度が重要な特徴です。金型として使用される場合、耐摩耗性が非常に高く、長時間の使用にも耐えられることが求められます。また、金属を成形する際には、耐熱性も重要であり、高温に耐えられることが必要です。
>>超硬部品/超硬金型の超硬加工を 成功させるポイントを紹介
放電加工とは、液体の中で電極とワーク間で放電を行い、その熱エネルギーでワークに形状を施す加工のことを指します。放電エネルギーによって、電極付近のワークのみが高温になり、融解されます。
この際、加工液による急速な冷却により、ワークの融解部分が飛散して、不要な部分が除去されます。
融解、冷却、飛散を繰り返して、ワークを任意の形状に加工していきます。加工液としては水や石油が使用されます。
放電加工は、導電性のあるワークであれば基本的に加工が可能ですが、超硬合金を加工する際にはコバルトやニッケルの流出による加工面の腐食に注意する必要があります。
超硬合金は、タングステンなどの硬質金属炭化物と、コバルトやニッケルなどの鉄系金属で構成されています。コバルトやニッケルは水に優先的に溶け出す性質があり、溶け出すと強度低下や鏡面加工時にクレーター状の表面になってしまいます。
長時間の加工を行う際には、加工液に水を使用せず、石油などの油で加工する必要があります。ただし、油での加工は加工速度が遅く、加工液や消耗品のコストが高く、大幅なコストアップにつながるという特徴があります。
下記にて、当社の放電加工の様子をご確認ください。
【超硬合金における放電加工のモニター動画】
【超硬合金の放電加工動画】
当社は、水ワイヤー放電加工機、油ワイヤー放電加工機、油型彫放電加工機の3種類を保有し、ワイヤーの径はφ0.03㎜、φ0.05㎜、φ0.07㎜、φ0.1㎜、φ0.2㎜の5種類を使い分けています。これにより、それぞれの用途に合わせて最適な加工方法を提供しています。
また、水ワイヤー放電加工は腐食の可能性があるという問題がありますが、当社ではアラ加工に水ワイヤーを使用し、仕上げ加工には油を使用することで、問題を解決しています。これにより、コストとクオリティに対して最善の提案を行っています。
ワイヤー放電加工機は、高精度で複雑な形状の切削が可能な非接触加工方法を用いる機械です。
この加工技術では、細い導電性のワイヤーを電極として使用し、ワイヤーと被加工材料の間に微小な放電を発生させることで、材料を溶解・蒸発させて所望の形状に切削します。
ワイヤー放電加工機は、高い精度と良好な表面仕上げを実現し、硬度の高い材料や複雑な形状の加工にも適しています。また、非接触加工であるため、機械的な応力や熱影響が最小限に抑えられます。ワイヤー放電加工機には、油を介在媒体とする油ワイヤー放電加工機と、脱イオン水や水溶性の誘電液を介在媒体とする水ワイヤー放電加工機があり、それぞれの特性に応じて適切な機種を選択することが重要です。
下記では、「 水ワイヤー放電加工機 」「 油ワイヤー放電加工機 」について詳しい説明と当社が保有する設備をご紹介いたします。
水ワイヤー放電加工機は、脱イオン水や水溶性の誘電液を介在媒体として使用します。加工速度が速く、生産性が高いのが特徴で、水の冷却効果で熱影響を低減できます。さらに、環境負荷が低く、廃棄や取り扱いが容易です。
【AL400G】
メーカー :ソディック
台数 :1
【SL400P】
メーカー : ソディック
台数 :1
【FA10S】
メーカー :三菱電機
台数 :1
油ワイヤー放電加工機は、油を介在媒体として使用し、表面粗さが低く高品質な加工が可能です。油加工の場合、水加工と違って腐食することがなく加工が可能です。また、油が絶縁体であるため、放電安定性が高いのが特徴です。
【AP250L】
メーカー :ソディック
台数 :2
【AP200L LQ1W】
メーカー :ソディック
台数 :1
【AP200L LN1W】
メーカー :ソディック
台数 :1
型彫放電加工機は、電極と被加工物との間でスパーク放電を発生させ、材料を溶解・蒸発させて形状を作る放電加工法です。3D形状の複雑な金型やプレスダイの製造に適しています。
【AG40L】
メーカー :ソディック
台数 :2
こちらでは、当社の放電加工の事例をご紹介いたします。
超硬一体加工による84個穴金型です。
84個穴ではありますが、穴ピッチ精度が累積3μ以内で、
垂直精度が5μ以内の高精度な仕上がりです。
IC、LSIはセラミック製以外にも樹脂製がありますが、セラミックは耐熱性・耐久性に優れており、
主に高機能製品向けに使用されます。
セラミックの場合は樹脂と比べて、成形材料の硬度が高いため、
寸法精度・耐久耐熱性の点を考慮して超硬製の金型が使用されます。
こちらは、建築用の耐摩耗部品です。
こちらの部品は、上面の形状が3D形状となっており、複雑であるため、
加工には高度な技術が求められていました。
当社では、「細穴加工機」「ワイヤー放電加工機」「マシニング加工機」等、
各工程に最適な設備を用いることで、高精度な加工を施しています。
いかがでしょうか。今回は超硬合金の放電加工についてお伝えしました。
超硬加工・金型センターを運営する桂精密株式会社では、昭和32年の設立以来、超硬金型や超硬部品の設計製作に携わり技術を磨いてまいりました。
その中で培った知見・ノウハウを活かし、お客様のご要望の超硬部品に最適な材質提案もすることが可能です。超硬部品に関するお困りごとは、是非当社までご相談ください。